【書評】未来製作所 小説から見えるデンソーが描く未来とは

雑記
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どうも、はるです。

 

今回は6月に発売された「未来製作所」の書評です。

 

幻冬舎から出た、短編小説集なんですが、

モノづくりをテーマにして、デンソーと幻冬舎が共同企画・制作した小説

キャッチコピーは

デンソーを見て、感じた5人の作家が描く、驚きに満ちたモビリティのミライ!

 

中身もキャチコピーの通り、5名の作家がデンソーをモノづくりの実態を取材し、

それぞれの観点から小説へと発展させ未来を思い描かせるような小説になっています。

 

5人の作家は

太田忠司、田丸雅智、北野勇作、松崎有理、小狐裕介

となっています。

 

一遍一遍は長くないので、全部読むのに時間はかかりませんでした。

 

 

全体の感想

 

今の車社会が大幅に発展した未来世界で、

どのようなことが起きるのか

その中で人はどのようなドラマを描くのか

が軸に書かれていますが、ドラマの中身ももちろん大事なのですが、

着目してほしいのはその”未来”

 

デンソーとの共同企画とのこともあって、

デンソーが見据えている世界がここに現れています。

 

近年騒がれている自動運転は当然のことながら、

車の世界だけに捕らわれない自由な発想が見えてきます。

  • 自動運転が当たり前化していき、一つの部屋として変容していく未来
  • 犬型ロボットが進化していった未来
  • 義足の技術が発展していき、新しい登山の形になった未来
  • 自動運転への思い
  • AIが何を考えているのかを見る未来
  • データ社会、VR技術の中でも人の思いが生きていると実感する未来
  • 人が歩くことを忘れてしまった未来
  • ダイヤモンドの惑星が見つかった未来
  • 人がイルカになれる未来

ここに書いてある言葉だけ見ると、とんでもSFに聞こえますが、

自動車部品を長らくやっているデンソーの技術があればそんなに遠くない未来なんだろうなと感じられました。

 

 

面白かったのが、明るい未来だけでないことですね。

技術の進歩によって、人は歩くことを忘れたり、

残された技術者の行き場の無さであったり、

人が人らしく生きる情緒がなくなっているような描写があることです。

 

 

ドラマを動かすために人が出てくるのは当然なのでしょうが、

それとは別に「技術」と「人」が対比して描かれた作品を多く感じます。

 

デンソーは人を大切にするとうたっていますが、

その理念から来る「人」という観点なのでしょうか。

 

 

今の当たり前を当てはめること自体がナンセンスなのでしょうが、

やはり、想像できてしまう部分があると衝撃を受けるものですね。

 

何十年も前からのインターネットやPCの普及のスピードを考えると、

もっと自分が思うより近未来なのかもしれません。

 

あらすじと感想

ワンルーマー

自動運転が当たり前になり、車の在り方が変わった世界

若者だけでなく、様々な人の価値観がかわり、車だけでなく、住居すらその存在が変わっています。

面白いのはそのワンルームが最後が最後に行きつくところですね。

 

Dogcom

犬型ロボット(端末)が当たり前になった世界。

アイボというよりは、PCがその機能を持ったまま動けるようになった感じですね。

端末という考え方はあるものの、

持ち主が愛着を持っているのも、非常に興味深いですね。

 

どんなに発達した未来でも人はモノに愛着を抱くものですからね

 

工場散歩

これは、、、んー正直よく理解できなかった

 

プロから見える工場という物語ですね。

目に見えない変化を機嫌がいい悪いというような

そして、工場は外に行きたがっているよいうような

 

見ていて分からない人、申し訳ありません。

私の読解力が足りないようです。

 

山へ帰る日

義足が発達した世界で、

足を悪くした人が以前の趣味であった登山に再挑戦するという物語

 

技術の発展の大元には人の強い欲望や願望があって、

その行動に周囲の人は動かされる

 

これは今でも近しい話はありますね。

義手や義足も今後さらなる発展をしていってほしいですね

鞍の上で

これはAIの話でした。

ここで勉強になったと感じたのは「三上の説」ですね。

 

物事を考えるに適切な場所はトイレ、布団、馬の上という話

これは日頃から使えるなと思いましたね

天文学者の受難

これは考えさせられる内容でしたが、若干ギャグテイストになっていました。

炭素の惑星の発見から、マスコミの騒ぎ方、ダイヤモンド商人、果ては怪盗まで

極めつけは宇宙人からのメッセージを受け取るというかなりSF

 

落ちも面白いんですが、人や立ち場によって大切と感じるモノは変わります。

当たり前なことですが、話のスケールがより面白くしていますね

ラプラスの兄妹

交通事故撲滅を目指す兄妹の物語

量子コンピュータができた世界での話ですが、完全な自動運転を目指す姿は今も変わらないですね

 

自動運転のテストで事故が発生しますが、

これはクラッキングによる妨害工作だったという内容も

トヨタ車のプリウスがクラッキングされた実話をモチーフにしているのでしょうか

 

砂漠の機械工

かなり一押しですね。

人が”歩く”ことを忘れた世界。

そんな世界を一人で歩いて見てみたいという変わり者が現れ、

補助具とともに歩いて旅をしていきます。

 

この旅に一人のおじいさんがあらわれて粋な計らいをしてくれます。

 

人が本当に必要なモノが何か改めて考えさせられる一話です。

ドルフィンスーツ

海の中を自由に泳ぎたいという想いから産まれたドルフィンスーツ

まるで本物のイルカのように海を泳ぎまわって、マリンスポーツにまで一般化していっている未来

 

これも空を飛びたいというような夢の一つですね。

水中を泳ぎ回る描写はとても生き生きしています

 

つなげる思い

父親が残したデータの中から、人の思い出を呼び覚ます物語。

 

息子が両親の思い出をたどって、

VRを使って母親にプレゼントするという、とてもハートフルに感じます。

 

どれだけ技術が発展しても

それを動かすのは人であって、そこには人の思いがあると認識できます・

 

まとめ

以上、私が読んで感じた未来です。

 

SFチックなところがありますが、

それはもう目の前にせまってきているんだと感じます。

 

デンソーが目指す世界はこれが当たり前

その中の人が思いが何かをかんがさせてくれる内容でした。

 

 

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